今回、『小林さんちのメイドラゴンS』より監督を務めさせていただくことになりました石原立也です。
本来、他の監督が創りあげてきた作品を引き継ぐということはとても難しいものですが、この作品を引き継がせていただくなら私以外にはいないだろうと、そういった想いもあり、今回、監督として制作に携わることとなりました。
この作品は一見キャラクターが可愛いことが魅力のコメディ作品に見えますが、実は人間や社会のディープな部分に切り込んでいくなどメッセージ性の強さも魅力だと思っています。トールが「まるで人間が自然から乖離したようなセリフですね」と小林にツッコミを入れるシーンがあるのですが、こういった人間のおこがましさのようなところをチクリとクールに刺してくるようなところがこの作品の面白さであり、シリーズを通して一貫しているところでもあります。それは監督が変わっても何ら変わりありません。
以前、武本さんも話していましたが、この作品ではドラゴンと人間は相容れる必要ってないんです。分かち合うことは無くて、どこまでいっても平行線の関係。異種族とは理解し合えない、同じ時間を生きられないけれど、それでも一緒にいる、そういった束の間の時間を描いている点が根底にある。そのことを大切に、そのうえで楽しく明るいホームコメディとして『S』の制作に取り組ませていただきました。
改めてにはなりますが、今回こうして作品を送り出すことができてとても嬉しいです。これまでのファンの方も、新しく作品を知った方も、誰もが楽しめる作品になっていると思います。新キャラのイルルが混ざってさらに明るくはちゃめちゃな“メイドラゴン”になっていますので、是非楽しみにご覧下さい。
石原立也