『小林さんちのメイドラゴンS』
放送開始記念スタッフ対談
石原立也(監督)×門脇未来(キャラクターデザイン)
『小林さんちのメイドラゴンS』の放送開始を記念し、監督・石原立也とキャラクターデザイン・門脇未来の対談を公開! 作品の魅力と制作中のエピソードを語っていただきました。
石石原立也(監督)
門門脇未来(キャラクターデザイン)
— ついに『小林さんちのメイドラゴンS』(以下、『S』)の放送が開始されました。
石まずはこういった世界的にも危機的な情勢下で、自分たちの作った作品を皆様のもとにお届けできることが嬉しいです。京都アニメーションとしては久しぶりのテレビシリーズになるので、どういった反応が見られるのか楽しみです。
門そうですね。1期再放送もやっていましたし、『ミニドラ』などもあって、最大限に気運が高まっている感じがします。キャラクターデザインとしては、新キャラのイルルを皆さんが好意的に見てくれていてほっとしています。
石SNSの反応は見るんだ。僕は見るとお腹が痛くなるのであまり見ませんよ。
門実は私もチラ見程度です(笑)。怖いというのもありますし、反応を見てしまうと描くときに何かしら影響を受けてしまうのを避けるという意味もありますね。
— 第1話をご覧になられていかがでしたか?
石トールのポニーテールはやっぱり良いですね。僕は今回で、ポニーテールが好きなんだと改めて確信しました(笑)。
門あのメイド喫茶の衣装、かなりこだわっていましたよね。リテイクが何度もありました……。あと、新キャラのイルルがとても可愛かったですよね。まだ先にはなりますが、この後出てくるタケトとの関係性が大好きなんです。
— 『ミニドラ』は新しい試みでしたね。
石あれは元々僕が引き継ぐ前から計画していたもので、1期からしばらく期間が開いてしまうこともあり、新しく2期から見始める人でも理解できるようにと、『メイドラゴン』らしさを事前に見せていこうという意図があったみたいです。
門新しい試みという意味では、若手の原画マンが中心になって取り組むことができたというのもあります。若いスタッフにそういった機会が与えられるというのは、やりがいも出てとても良いことだと思いますね。
石そうだよね。いろいろな面から『ミニドラ』はとても良かったと思います。あの短さも時世に合っているなと思いますし、今後もこういった短い作品が増えていくんじゃないかなって思います。
門通学や通勤時間などでスマホで見られるっていうのがいいですよね。OPでは3Dを使っていますけど、あれは京都アニメーション内で制作したもので、監修としてチェックをさせていただいたんですがとても楽しかったです。自分の意見もどんどん反映していってくれて、より可愛くトールに近づいていく過程が良かった。
石ちゃんとした等身でメインキャラクターを3Dで表現することってほとんど初めてなんですが、やっぱり思い通りにするのはとても難しい。反面、意外と上手にできたなと思うところなんかもあって、貴重な経験でした。
— 『S』の魅力についてお聞かせください。
石『S』は新キャラのイルルはもちろんなのですが、1期からのキャラクターたちの関係性がより深まっていく物語です。なので1期から応援してくださっている人たちにも安心してご覧いただけるのではないでしょうか。
門個人的には、1期でトールから小林さんへの一方的な愛が描かれていましたが、『S』では小林さんからトールへの愛も垣間見えて嬉しかったです。そういったキャラの関係性の変化・深化が魅力ですね。
— 新キャラクターについて聞かせてください。
門『S』で一番初めに起こしたデザインが、イルルと会田タケトとその祖母でした。
石確か僕が監督として引き継いだ時には、ラフは出来上がっていたんじゃないかな。
門そうですね。武本監督の時点でシナリオとコンテの一部は既に上がっていて、新規設定もある程度は進めていたんです。タケトとその祖母についてはすんなり決まったんですが、イルルについては一癖ありましたね。特に“胸”が……(笑)。
石背が低いのに、胸が大きいのでアンバランスなんですよ。だからどうにもずんぐりむっくりした体型になってしまって……。
門かといって胸を小さくしてしまっては、原作の良さを殺すことになってしまうので、ちょうどよい塩梅を見つけるのに苦労しました。それも一度決まったものから、もう一度修正を加えましたよね。
石そう。なんか体がだらしなく見えてしまったので、だらんと胸が下がっているように見えたのを、きゅっと引き締めるような感じで修正をしました。そうしてようやく今のイルルになったんです。
門原作のフェティシズムを意識しつつアニメとして落とし込む難しさを感じました(笑)。
— 『S』ではどのように制作を進められたのでしょうか?
石すでに1期の時点で詳細なキャラプロフィールや作品メモがありましたので、それを基軸にさせていただきました。そのうえで原作やシナリオを読み込み、『S』としての輪郭を形作っていきました。
門作品の制作開始時に行う社内スタッフへの作品説明会もありましたね。スタッフみんなで情報共有して、意識を高めていきました。
石例えば「異種族間の断絶などを常に意識する」などは、特に意識した部分です。とはいえ、監督として自分がこだわりたい部分は色々相談させていただきましたね。
— それはどういった点でしょうか。
門トールが着る私服なんかも、石原監督の場合可愛くフリフリしたものがいいと仰ったり、ゲストキャラで気持ちの悪い小さいおっさんが出てくるんですが、その「気持ち悪さ」のベクトルが違ったりと、作品の根幹は変わりませんがそういった枝葉の部分で差異はありました(笑)。
石トールの私服、可愛いです。是非楽しみにしてください!(笑) あと実は第1話の構成なども少しだけ手を加えました。やはり1期から期間も開き作品としての総括的な説明をしておいた方が良いだろうと判断したんです。そのため、トールがメイドであったり、実はドラゴンであったりといった何気ない日常の物語を前半に入れ、よりコミカルな第1話になることを意識しましたが、いかがでしたでしょうか。
門楽しい第1話になっていると思いますので、お楽しみいただけていれば嬉しいですね。
— 石原監督とキャラデザとしての門脇さんのタッグは今回が初めてですね。
石そういえばそうですね。門脇さんはとにかく絵がうまいし何も違和感なく進めていました。
門ありがとうございます。石原監督はとにかく「可愛い」へのこだわりがすごいなと思いましたね。特に各話で出てくる私服設定も、石原監督になった途端どっと増えました(笑)。
石これは何度でも言いますが、やっぱり可愛い私服がいいですからね。僕はきっと会社の中でも誰よりもオタクなんだと思います(笑)。
— それでは最後にファンの皆様に一言お願いします。
門お久しぶりのメイドラゴンです! どうぞご堪能ください!
石皆さん。今年の夏は楽しいですよ。